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榊は、四季を通じて常緑であるために「栄樹(さかえき)」と名づけられ、「え」が省略されてサカキになったといわれる。神事には欠かせない木だから神社境内には特に多く見かけられる。
源氏物語では、榊を神前に供える木という概念で使っている。
サカキは、夏に香りのある白い小花が枝先に咲く。実は球形で直径4ミリほどで、晩秋に黒く熟す。
材は細工物に利用されるほか、建築用材となる。 |
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源氏の君は、この何ヶ月会わずにいたのを、もっともらしく言い訳するのも気まずくなるほどのご無沙汰なので、少し折って持っていた榊の枝を御簾の中にさし入れて、
「榊の色のように変わらない心に導かれて、恋のためには神聖な斎垣も越えてきたのです。それなのになんと冷たい仕打ち」
と文書にしておっしゃると、御息所は、
神垣は しるしの杉も なきものを いかにまがへて 折れるさかきぞ
(ここの神垣には人を導く目じるしの杉もないのに いったいなんのために榊を折られたのでしょう)
とお答えになるので、
少女子が あたりと思へば 榊葉の 香をなつかしみ とめてこそ折れ
(神様に仕える乙女の宿っている所だと思うからこそ 榊葉の香がなつかしく折ってきたのです) |
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[賢木] |
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三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋 |
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ひさかたの 天の原より 生れ来る 神の命 奥山の さかきの枝に しらか付け 木綿取り付けて 斎瓮を 斎ひ掘り据ゑ 竹玉を しじに貫き垂れ 鹿じもの 膝折り伏して たわやめの おすひ取 りかけ かくだにも 我は祈ひなむ 君に逢はじかも
(ひさかたの 天の原から 天降られた 先祖の神よ 奥山の 榊の枝に しらかを 付け 木綿も取り付けて 斎瓮を 謹んで地面に掘り据え 竹玉をいっぱい貫き垂
らし 鹿のように 膝を曲げて身を伏せ たおやめの おすひを肩にかけ これほ どまでに わたしはお祈りしているのに あの方には逢えないのではないでしょう
か)
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坂上郎女(巻三―三七九) |
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