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名前
梶の木(かじのき)
別名
梶(かじ) 構(こう)
学名
Broussonetia papyrifera
分類詳細
クワ科コウゾ属 落葉高木
7〜8月
10m
和紙 豚、牛、羊、鹿の肥料(葉)
住の江の 松に夜ぶかく おく霜は 神のかけたる 木綿鬘(ゆうかづら)かも
(住吉の松に夜が更けてからおく霜は 神のおかけになった木綿鬘でしょうか)

 「木綿(ゆう)」はカジノキの樹皮を白くさらして麻のように割いたもの、及びその糸で織った布をいう。
 木綿鬘(ゆうかづら)は、重要な祭儀のときに木綿をかつらにしたものであり、源氏物語当時の男子の正装は、冠の縁に木綿の緒を巻き、後ろに結んでいる。
 また、木綿の布をたすきにしたものを木綿襷(ゆうだすき)という。
 なお、神に奉る白和幣(しろにぎて)は、カジノキの皮の繊維で織った白布で、青和幣(あおにぎて)は、麻の布だった。
 その夜は一晩中歌舞の遊びをして明かされる。二十日の月がはるか彼方に澄んでいて、海の面が美しく見渡されるのに、社一帯には霜が深くおりて、松原も白く見え、なにもかも寒々として、哀れさもひとしおである。紫の上は、ふだんは邸の中ながら、四季折々の、朝夕の風流な管弦の遊びは聞き飽き見慣れていらっしゃるものの、邸の外での見物はほとんどなさらず、ましてこのような都の外へのお出かけはご経験がないので、珍しくも面白くも思われる。紫の上は、

住の江の 松に夜ぶかく おく霜は 神のかけたる 木綿鬘かも
(住吉の松に夜が更けてからおく霜は 神のおかけになった木綿鬘でしょうか)            
[若菜下]
三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋
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