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名前
胡瓜(きゅうり)
別名
黄瓜(きゅうり)
学名
Cucumis sativus L.
分類詳細
ウリ科 つる性一年草
7〜8月
7〜8月
1.8m
 キュウリの原産地は、インド北部ヒマラヤ山麓で、日本には中国から渡来し、平安時代から栽培されている。
 古事記に、

「今より以後は、倭建御子と称ふべし」
 とまをしき。このこと白し訖へしかば、すなわち熟瓜(ほぞぢ)の如振り折きて殺したまひき。かれ、その時より御名を称へて倭建命と謂ふ。

「今後はヤマトタケルノ御子とたたえて言おう」
 と言った。このことを言い終わったので、ただちにヲウスノ命はよく熟した瓜を裂くように、クマソタケルを切り裂いて殺してしまわれた。それで、その時から名前をたたえてヤマトタケルノ命(みこと)という。

 熟瓜(ほぞぢ)とは、キュウリが黄色く熟したものを言い、キュウリは黄瓜とも書く。わたしたちは、キュウリが黄色く熟さない前の青いキュウリを食べるが、古代には熟したものを食べたようだ。
 右の『催馬楽・山城』の瓜は胡瓜の省略で、京都が産地だったことがわかる。
 この典侍が、琵琶をとても見事に弾いている。帝の前の音楽の催しでも、男たちの演奏に加わったりして琵琶を弾くと、これ以上優れた人はいないというほどの名手だし、源氏の君を恨めしく思っている時なので、その音が一層哀調を帯びて聞こえる。
「瓜作りになりやしなまし([催馬楽・山城])」  
 と、声だけはとても美しく謡うのが、ちょっと気に入らない。
〈鄂州にいたという昔の女も こんなに美しい声だったのだろうか〉  
 と、源氏の君は耳をとめてお聞きになる。
[紅葉賀]
山城の 狛のわたりの 瓜つくり なよや らいしなや 瓜つくり 瓜つくり はれ 瓜つくり 我を欲しと言ふ いかにせむ なよや らいしなや さいしなやいかにせむ いかにせむ はれ いかにせむ なりやしなまし 瓜たつまでにや らいしなや さいしなや 瓜たつま 瓜たつまでに
(山城の狛のあたりの瓜づくり ナヨヤ ライシナヤ サイシナヤ 瓜づくり 瓜づくり ハレ 瓜づくり わたしを愛人にしたいと言う どうしよう ナヨヤ ライシナヤ サイシナヤ どうしよう どうしよう ハレ どうしよう まとまるでしょうか 瓜が熟するまでに ライシナヤ サイシナヤ 瓜が熟するまで 瓜が熟するまでに)
[催馬楽・山城]
三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋
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