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鬼野老は、一名野老(ところ)というが、その根茎が海老(えび)のように曲がり、根茎から出る細根が老人の髭(ひげ)のように見えることから、海の老人の海老(えび)に対して、野の老人に見立てて野老(ところ)の名になったという。
野老(ところ)は、古くは「土古呂」、「都古侶」と書き、「所領(ところ)」の意味があり、領地(りょうち)の安堵を願って野老(ところ)を正月に飾ったという 。
古くから正月飾りには、ダイダイ、ユズリハ、ウラジロなどとともに野老を飾って長寿を祝ったという。
なお、オニドコロは有毒植物で、食べると喉や胃腸の炎症をひきおこす。だが古い時代には、飢饉、戦争などで食料が不足した時に食べる救荒植物として、茹でて晒したりしてデンプンを取り出して食用にしたようである。 |
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お寺の近くで掘り出した筍や、そのあたりの山で掘った山芋などが、いかにも山里にふさわしい風情があるので贈られるが、そのこまごまとお書きになった手紙の端に、
「春の野山は、霞が立ちこめてはっきり見えないのですが、あなたへの深い思いから掘り出させました、ほんの少しばかりですが。
世をわかれ 入りなむ道は おくるとも 同じところを 君もたづねよ
(俗世を捨てて お入りになった仏の道は わたしより遅くても 同じ極楽浄土にあなたもいらっしゃるように)
とても難しいことですが」
と書いていらっしゃるのを、女三の宮が涙ぐんでごらんになっていると、源氏の院がやって来られた。 |
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[横笛] |
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三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋 |
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