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夜糞峰榛(よぐそみねばり)とは不浄な名前だが、枝を折ると強いサリチル酸メチルのような臭いがするので名づけられた。
ヨグソミネバリは、アズサ、ミズメとも呼ばれ、アズサは、『古事記』の応神天皇のところに、「阿豆佐由美あずさゆみ」と出たのが語源で、源氏物語では「梓」の文字を用いている。
材はねばり強く、古代から弓材として用いられ、梓弓は有名である。正倉院に伝えられている梓弓も、この材が用いられている。器具、家具材など用途は広い。 |
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〈あの人はどこにいるだろう〉
と胸をときめかせて、
「扇を取られてからきめをみる(本歌は、石川の 高麗人に 帯を取られて からき悔いする[催馬楽])」
と、わざとおどけた声で謡われて、長押に寄りかかっていらっしゃる。
「帯でなく扇とは 妙に風変わりな高麗人だわ」
と答えるのは、わけを知らない人だろう。源氏の君は返事をしないで、ただ時々ため息をつく気配のする方に寄り添って、几帳越しに手を取られて、
「あづさ弓 いるさの山に まどふかな ほのみし月の 影や見ゆると
(ほのかに見た月に また逢えないかとわたしは探し迷っている)
どうしてだろう」
と推測しておっしゃると、相手もこらえきれないのだろう。
心いる 方ならませば ゆみはりの つきなき空に 迷はましやは
(ほんとうに愛してくださるなら 月のない空でも迷われるでしょうか)
という声が、まさにあの女だ。とても嬉しくて・・・・・・。 |
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[花宴] |
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三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋 |
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梓弓 末の腹野に 鳥狩する 君が弓弦の 絶えむと思へや
(末の腹野で鷹狩をなさるあなたの弓弦のように 切れることがあるでしょうか)
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読人しらず(巻十一―二六三八) |
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