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Parthenocissus tricuspidata |
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蔦の紅葉はひときわ美しい。「蔦紅葉」という言葉があるように、これまで多くの歌人や俳人が歌にしてきた。その中でも、
秋こそあれ 人はたづねぬ 松の戸を 幾重もとぢよ 蔦のもみぢ葉
(秋 わたしに飽きたのか 訪ねてこない家の戸を いっそ幾重にも閉じてしまえ 蔦の紅葉)
という式子内親王の歌は、「蔦紅葉」を詠った歌の中で燦然と輝く名歌といえる。赤い蔦の葉が心とは正反対に燃えたぎる情熱を思わせるからだ。
和名のツタは「伝える」という意味で、一名を夏蔦(なつづた)という。古くはアマヅラ、アマヅルと呼び、ツタの幹から液を採り、煮詰めて甘味料としていた。 |
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木枯らしが耐え難いほど吹き抜けていくので、梢には残っている葉もなく、みな散って敷きつめられた紅葉を踏み分けた足跡もないのを中納言は見渡して、すぐにはお帰りになる気にもなれない。風情のある奥山に生い茂る木にからまっている蔦がまだ色褪せずに残っている。
「せめてこの蔦だけでも」
などと少し引き取らせて、中の君へのお土産になさるつもりらしく、従者に持たせてお帰りになる。 |
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[宿木] |
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尼君のほうから果物をさし上げる。箱の蓋に、紅葉や蔦などを折って敷いて、風情があるように取り混ぜて敷いてある紙に、筆太に書いてあるのが、明るい月の光にふと見えたので、大将がそれを読もうとごらんになるのが、まるで果物を急いで食べたがっているように見える。 |
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[東屋] |
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三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋 |
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