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鬼の醜草(おにのしこぐさ) 十五夜草(じゅうごやそう) |
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シオンは、日本産で中国山地や九州の山間部に自生しているが、通常は庭園で栽培されていて、絶滅危惧II類(VU)に指定されている。
栽培の歴史は古く、今昔物語にも「思い草」の名で登場する。元々は根を薬用としたが、平安時代には鑑賞用として植えられるようになったという。新撰字鏡には「紫苑」と書かれている。
古今集に、
ふりはへて いざふるさとの 花みんと こしをにほひぞ うつろひにける
わざわざふる里の花を見ようと来たけれど 紫苑は色褪せていた
とあり、古くは「しをに」と詠まれた。 |
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女童たちは、紫苑、撫子、紫の濃淡のさまざまな衵(あこめ)の上に、女郎花の汗衫(かざみ)などといった、秋にふさわしい装いをして、四、五人連れだって、あちこちの草むらに行き、いろんな色の虫籠を持ってさまよい、撫子などのとても可憐な枝を折り取って中宮のところへ持ってくる、その姿が霧の中で見え隠れするのは、とても優艶な感じである。寝殿から中将のところへ吹いてくる風は、匂わない紫苑の花までもすっかり匂っているような香の薫で、それも、
〈中宮が袖を触れられたせいだろうか〉
と思うだけでも素晴らしく、緊張してしまって、中宮の前へ出てゆくのもためらわれるが、静かに咳払いをして歩いて行かれると、女房たちはあからさまに驚いた顔はしないが、みなそっと奥へ入ってしまった。 |
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[野分] |
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三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋 |
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