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くぬぎの古名は、橡つるばみである。『万葉集』でつるばみの歌は6首詠まれているが、花や実(どんぐり)、あるいは樹木を詠んだものは1首もなく、すべてクヌギの木汁を材料として染めた衣を詠んだものばかりである。つるばみで染めた衣は質素で、庶民は特にこれを着たらしいが、貴族階級もふだんは着ていたようである。 |
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夕風が吹いて敷きつめられた紅葉は濃いの薄いのと色とりどりで、錦を敷いた渡り廊下と見間違えるほどの庭に、器量の可愛らしい名門の子息の童たちが、青や赤の白(しら)橡(つるばみ)の袍(ほう)や蘇芳(すおう)、葡萄(えび)染(ぞめ)の下襲(したがさね)などを、いつものように着て、髪は例の角(み)髪(ずら)に結い、額に天冠をつけただけの扮装で、短い曲をほんの少し舞いながら、紅葉の木陰に入ってゆく姿は、日が暮れるのも惜しいほどである。 |
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[藤裏葉] |
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三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋 |
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紅は うつろふものそ 橡の なれにし衣に なほ及かめやも
(紅は 色褪せるもの 橡染めでも 着慣れた衣に やはり及ぼうか)
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大伴家持(巻十八―四一〇九) |
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