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名前
葦(あし)
別名
ヨシ
学名
Phragmites australis
分類詳細
イネ科 多年草
8〜10月
2m
利尿 止血 発汗(根)
 古事記に、

「次に、国稚く浮ける脂の如くして、くらげなすただよえる時に、葦牙の如く萌え騰れる物に因りて成りし神の名は、宇摩忘阿斯訶備比古遅神。
(次に、大地はまだ若く水に浮かんでいる脂のようで、くらげのように漂っている時、葦が泥の中から芽を出してくるような勢いで出て来られたのが、ウマシアシカビヒコヂの神)」

 とあり、豊葦原瑞穂国というように、葦は日本各地の沼、沢、河辺などに生育している。
 源氏物語でも、葦が、屋根や垣根や簾の材料に使われていることがわかる。
 葦は、「悪し」に通じることから「善し(ヨシ)」とも呼ぶ。
 また別の日、源氏の君はとても心を込めてお便りをなさる。例によって小さい結び文に、

「いはけなき 鶴の一声 聞きしより 葦間になづむ 舟ぞえならぬ
(幼い鶴の一声を聞いてから 葦の間を漕いで行く船のもどかしさ)

『同じ人(堀江漕ぐ 棚無し小舟 漕ぎかえり 同じ人にや 恋ひわたりなむ  [古今集])』姫君だけを恋し続けます」  
 と、わざと子供っぽく書いてあるのも、とても見事なので、
「このまま習字のお手本に」  
 と女房たちが言う。         
[若紫]
三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋
葦の葉に 夕霧立ちて 鴨が音の 寒き夕し 汝をば偲はむ
(葦の葉に 夕霧が立って 鴨の声の 寒々と聞こえる夕べに あなたはきっと偲ぶだろう)
防人が歌(巻十四―三五七〇)
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