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碁盤には、イチイ科の榧(かや)を使うから、イチイを取り上げた。
イチイは笏(しゃく)の良材として知られ、笏を持つ高官の位階の一位にちなんだ名前である。飛騨の位山(くらいやま)産のイチイがおもに使われたようである。 |
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「中納言の朝臣をここへ」
と帝のお言葉があって、中納言が参上なさった。なるほど、このように特別にお呼びになるだけのことはあって、遠くから匂ってくる薫りをはじめとして、普通の人とは違う優れた容姿でいらっしゃる。
「今日の時雨は、いつもより特に静かだが、管弦の遊びなどは喪中でできないから退屈でしょうがないが、なんとなく過ごすにはこれが一番いい」
とおっしゃって、帝は碁盤を持って来させて、中納言を碁の相手になさる。 |
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[宿木] |
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三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋 |
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