◇俳優歴13年、演出歴23年の広島で活動する演出家、三澤憲治の演出日記　三澤憲治プロフィール 2010年2月11日(祝） 　先月の日記に、 「名前も知らないこんな植物にもなんともいえない感慨をおぼえた」 　と書いたが、昨日再び縮景園に行って、園の人に尋ねたらわかった。 　左がアオキ（青木）で、右がイヌビワである。アオキは常緑で枝も青いために「青木」という、いたって単純な命名だが、イヌビワはビワに似ていて食べられるが、ビワに比べてまずいことから、犬のビワという意味で「イヌビワ」というらしい。 2010年2月9日(火） 「最近スーパーに中高年の男性客が多い」 　そう思うのはわたしだけだろうか。 　わたしも仕事が終ったらスーパーに買い物に行く。夕ご飯の献立はその時に決める。 「新鮮な魚があれば魚を、おいしそうな肉があれば肉を」 　というのが理想だが、魚は高くてめったに買わない。生まれが山陰の松江で宍道湖のほとりで育ち、子供のときから新鮮な魚に親しんできたわたしには、 「新鮮でないのに、この値段！」 　と、どうしても買い渋ってしまからだ。 　買い物をして家につくと、すぐに米をとぐ。高速炊飯に設定。そこではじめて服を着替えて本格的に料理を作る。本格的といっても、所要時間はご飯が炊き上がるまでの約30分しかない。 「安い素材で、おいしい料理を手早く作る」 　これがわたしの料理のポリシーである。 　少し横道にそれるが、この間レッスンの時に在籍者たちが、 「芝居は難しいですね」 　と言うものだから、わたしはこう答えた。 「芝居は簡単だよ。だって簡単でなければわたしが50年もやっているわけないじゃないか。きみたちは芝居を難しく考えすぎる。本能で演じればいいんだよ。本能に逆らうようなことをするから、おかしな演技になるんだ」 　と。 「本能に逆らうといえば、この間の大作家のアニメはとことん本能に逆らっていたな。一世を風靡した世界の大作家だから、みんな手放しで褒めていたが・・・。アニメだってアニメならではのリアリティは必要だろうに」 　おっと、またまた脱線した。 　とにかく、芝居が簡単で本能の赴くままに演じればいいように、料理も簡単で食欲という本能で作ればおいしい料理が出来あがる。だからわたしは、 「塩小さじ一杯、醤油大さじニ分の一杯」 　なんてことは絶対にしない。そんなことをしたら料理がお勉強になってしまう。すべて目分量、レシピは暗記して絶対に見ない。 　さて、これがわたしの一週間の夕ご飯。 　 2月2日（火） 　カキフライ 　キャベツ 　ニンジン 　味噌汁（豆腐・長ネギ） 　レーズンバター 2月3日（水） 節分 　ちゃんこ鍋 　チーズの大葉と餃子巻き 　巻き寿司 2月4日（木） 　ハンバーグ 　キャベツ 　目玉焼き 　スープ（タマネギ・卵） 2月5日（金） 　レバニラ炒め 　味噌汁（豆腐・長ネギ） 　チーズの大葉と餃子巻き 　白菜付け 2月6日（土） 　ポークソティ 　キャベツ 　ポテトサラダ 　味噌汁（豆腐・ニンジン） 2月7日（日） 　餃子 　チャーハン 　すまし汁 2月8日（月） 　カルボナーラ 　キャベツ・ニンジン・イチゴ 　手羽先焼き 　スープ（タマネギ・卵） 　ご覧のように毎日晩酌するから必ず酒のつまみがある。黒文字は仕方なく出来たてを買ったもの。時間があれば、漬物だってじぶんで作りたいが・・・。 　無から有を生ずる、それが俳優だ。 「作るという作業を日常化すれば演技は必ず上達する」 　とわたしは信じている。この間、わたしが注目している俳優に、 「料理を作っているか？」 　と聞いたら、 「あんまり」 　という答えが返ってきたので、今日あえてこういう日記を認めた。 2010年2月1日(月） 　あっという間に1月が終わり、2月になった。ホームページの体裁も整い、やっと普段の生活にもどったというのが実感だ。 　例年のごとくＮ･Ａ･Ｃ広島の「俳優・タレントカタログ」を東京をはじめ各地に郵送しているが、去年と同じように元雑誌編集者の久村敬夫氏からお礼のはがきが届いた。 「じっくり眺めていますと、いいタレントの卵？　がたくさんいますよね。（中略）まだＣＭほか何にも起用されない人で、中島千鶴さん、戸井浩湖さん、岡本倖太朗くんさんらが出て欲しいですね、とりあえず感想まで」 　と書いてある。 　さすがに名編集者と言われた久村氏である。鋭い職業眼の的を射た感想である。実際にこの三人は、わたしも注目している逸材である。