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名前
田辛し(たがらし)
別名
たねつけばな
学名
Ranunculus sceleratus
分類詳細
キンポウゲ科 越年草
3~5月
10~50cm
 光源氏は末摘花のことを、
「ただ、梅の花の、色のごと、三笠の山の、をとめをば、すてて」
 と揶揄するが、これを一条兼良は『花鳥余情』で、
「たたらめの花のごと 掻練好むや 滅紫の色好むや」
 という歌を変えて詠っていると説いている。
 「たたらめ」は、現在のタガラシの古名である。重修本草綱目啓蒙には、
「石竜芮。和名タガラシ。古名タタラビ、タタロベ、タタベナ」
 と記されている。末摘花の「タタラメ」はタタラビの転化したものである。漢名は、石竜芮(せきりゅうぜい)。
 タガラシは水田や用水路などに生える雑草で有毒植物である。和名の由来は、噛むと辛味があることから「田辛子」という説と、収穫の少ない田に生えることから「田枯らし」という説がある。
 源氏の君が台盤所(女房の詰所)を覗かれて、 「ほら、きのうの返事だ。妙に気になってね」  と言って結び文を投げつけられた。女房たちは、 〈なんだろう?〉  と見たがっている。 「ただ、梅の花の、色のごと、三笠の山の、をとめをば、すてて[花鳥余情]」  と口ずさまれて出ていかれるのを、命婦はとてもおかしがる。 
[東屋]
三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋
※一条兼良の[花鳥余情]は、「たたらめの花のごと 掻練好むや 滅紫の色好むや」の歌を変えて詠っていると説く。「たたらめ」は「田辛し」の古名である。
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