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光源氏は末摘花のことを、
「ただ、梅の花の、色のごと、三笠の山の、をとめをば、すてて」
と揶揄するが、これを一条兼良は『花鳥余情』で、
「たたらめの花のごと 掻練好むや 滅紫の色好むや」
という歌を変えて詠っていると説いている。
「たたらめ」は、現在のタガラシの古名である。重修本草綱目啓蒙には、
「石竜芮。和名タガラシ。古名タタラビ、タタロベ、タタベナ」
と記されている。末摘花の「タタラメ」はタタラビの転化したものである。漢名は、石竜芮(せきりゅうぜい)。
タガラシは水田や用水路などに生える雑草で有毒植物である。和名の由来は、噛むと辛味があることから「田辛子」という説と、収穫の少ない田に生えることから「田枯らし」という説がある。 |
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源氏の君が台盤所(女房の詰所)を覗かれて、 「ほら、きのうの返事だ。妙に気になってね」 と言って結び文を投げつけられた。女房たちは、 〈なんだろう?〉 と見たがっている。 「ただ、梅の花の、色のごと、三笠の山の、をとめをば、すてて[花鳥余情]」 と口ずさまれて出ていかれるのを、命婦はとてもおかしがる。 |
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[東屋] |
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三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋 |
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※一条兼良の[花鳥余情]は、「たたらめの花のごと 掻練好むや 滅紫の色好むや」の歌を変えて詠っていると説く。「たたらめ」は「田辛し」の古名である。 |
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