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名前
黒松(くろまつ)
別名
雄松 男松(おまつ)
学名
Pinus thunbergi
分類詳細
裸子植物 常緑高木 マツ科
4〜5月
30〜50m
建築材 器具材 土木用材
 クロマツは、樹皮が暗黒色だからその名がついたが、その葉がアカマツに比べて強剛であり、防潮、防風林の役目もして、荒々しい姿だから別名オマツ(雄松・男松)という。本州から九州の海岸近くに自生する日本特産の木である。
 クロマツは「白砂青松」の美観をつくりだして、「風光明媚」「天下の絶景」などと讃えられる所が多い。

 貝原益軒は『花譜(かふ)』の中で、
「松は百木の長なり、衆木に優れて千年の齢を保ち、霜雪をおかし、日常常に緑なり・・・」
 と説明し、『大和本草』では、
「久しく寿をたもつ木なり」
 と記している。
 正月やめでたいときの「松竹梅」は、中国の「歳寒三友」と同じで、冬の寒さに耐える三種類の植物をいい、
「松は長寿、竹は繁栄、梅は徳」
 を象徴するものとされてきた。
 使いの女童が返事をほしがるので、
「風流な引歌ずくめの手紙だから返事が書きにくくて、代筆とわかったら、気の毒だわね」  
 と言って、ひたすら女御の直筆に似せて書く。
「近くにいる甲斐もなくお会いできないのが恨めしくて、

ひたちなる するがの海の すまの浦に 波立ち出でよ 箱崎の松
(常陸にある駿河の海の須磨の浦に波を立てて来なさい箱崎の松〔待つ〕)」  

 と書いて、女御に読んでお聞かせすると、
「いやだわ。本当にわたしが書いたと言われたらたまらないわ」  
 と、迷惑そうだが、中納言は、
「聞く人が聞けばすぐにわかるはずです」  
 と言って、正式な書状として紙に包んで使いに渡した。                                
[常夏]
三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋
松の葉に 月はゆつりぬ もみち葉の 過ぐれや君が 逢はぬ夜の多き
(松の葉に 月はさしかかった 忘れられたのか あの人が 逢いに来てくれない夜 が多い)
池辺王(巻四―六二三)
一つ松 幾代か経ぬる 吹く風の 声の清きは 年深みかも
(一本松 おまえは何年経ったのか 松風の音が 清く澄んで聞こえるのは 長い年 月が経っているからだろう)
 市原王(巻六―一〇四二)
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