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檜は、緻密で腐りにくく光沢があり、香りがよいことから、古代から建築材として重用されてきた。特に寺の建築などにはなくてはならない木材である。日本書紀に次のような箇所がある。
一書に曰く、素戔鳴命の曰はく、
「韓郷の嶋には、是金銀有り。若使吾が児の所御す国に、浮宝有らずは、未だ佳からじ」
とのたまひて、乃ち鬚髯を抜きて散つ。即ち杉に成る。又胸の毛を抜き散つ。是、檜に成る。尻の毛は、是柀に成る。眉の毛は是櫲樟に成る。已にして其の用ゐるべきものを定む。乃ち称して曰はく、
「杉及び櫲樟、此の両の樹は、以て浮宝とすべし。檜は以て瑞宮を為る材にすべし。柀は以て顕見蒼生の奥津棄戸に将ち臥さむ具にすべし。夫の噉ふべき八十木種、皆能く播し生う」
とのたまふ。
(一書にいう。素戔鳴命は、
「韓郷(からくに)の島には金銀がある。もしわが子の治める国に、舟がなかったらよくないだろう」
とおっしゃって、ひげを抜いて放つとスギの木になった。さらに胸の毛を抜いて放つとヒノキになった。尻の毛はマキの木になった。眉の毛はクスノキになった。そしてその用途を決められて、
「スギとクスノキ、この二つの木は舟をつくるのによい。ヒノキは宮をつくる木によい。マキは現世の国民の寝棺をつくるのによい。そのためにたくさんの木の種子を蒔こう」
とおっしゃった)
檜は雌雄同株なので、尾花も雌花も枝先につく。 |
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姫君は、
〈今すぐにも帰っていらっしゃるかもしれない〉
と父君の帰りを待っていらっしゃるが、日も暮れようとしているのに、鬚黒の大将が玉鬘のところから帰って来られるはずがない。姫君はいつもじぶんが寄りかかっていた東面の柱を他人に譲るような気がするのも悲しくて、桧皮色(ひわだいろ)の紙を重ねたのに、ほんの小さく歌を書いて、柱のひび割れた隙間に笄(髪を手入れする道具)の先で差し込まれる。
今はとて 宿離れぬとも 馴れきつる 真木の柱は われを忘るな
(今を限りと邸を去ってしまっても なれ親しんできた真木の柱よ わたしを忘れないでください)
これだけでもなかなか書けないで泣かれる。 |
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[真木柱] |
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三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋 |
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古に ありけむ人も 我がごとか 三輪の檜原に かざし折りけむ
(その昔 いた人々も わたしたちのように 三輪の檜原で この枝を折って かん ざしにしたことだろう)
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柿本人麻呂(巻七―一一一八) |
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