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2014年10月2日(木)
これまでキャサリン・パターソン、ベルトルト・ブレヒト、ミヒャエル・エンデ、ウィリアム・シェイクスピアと、外国の小説や戯曲を劇化してきて、演劇人生の最後は日本の作品の劇化をと思い立ったとき、真っ先に浮かんできたのが『源氏物語』であった。
周知のように、小説を脚色したり、戯曲から上演台本を作るには、登場人物の微細な心の動きと関係性を把握しなければ創れるものではない。
ところが『源氏物語』には最初から躓いた。
先行の現代語訳を読んでも、主人公光源氏をはじめ、主要な登場人物の心の動きと関係性がつかめないのだ。そこで、
〈これはもう原文にあたるしかない〉
と思い、七年前から原文を読みながら、わたしなりに疑問点を一つずつ解決していった。
そして、この七年の成果を、上梓することにした。
「源氏物語」の現代語訳は、だいたい8冊とか10冊の分本で販売されているが、わたしは、桐壺から朝顔の巻までを、藤壺に対する源氏の遂げられない慕情とエロスに加え、源氏との過失で源氏の子を帝の子として身ごもって生んだ藤壺の罪の意識と、源氏に対するエロス的な否認を軸に展開する潜在的な『藤壺物語』ととらえ、巻一とした。
20帖を一冊にまとめたことによって、源氏物語を帰納的にではなく、演繹的に理解することがてき、源氏物語の全体像を把握してもらえるのではないか、と思っている。
演劇人の訳した『源氏物語』がどれほどの人たちに読んでいただけるかはわからないが、演劇に限らず、芸術一般は自己責任で完結するので、その意味で上梓することにした。わたしはこれを機に、巻二、巻三と上梓し、『源氏物語』五十四帖の劇化に突き進んでいく所存である。 |
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