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2014年5月8日(木)
稽古場が狭く実寸をとれないので、ゴールデンウィークの3日と4日には公園で稽古した。スポーツ施設が近くにあり、スポーツ関係者は文化には興味がなく素通りするだけだから、幸い誰にも邪魔されることなく稽古ができた。
ほとんどの日本人と違って外国人の中には立ち止まって見る人もいた。
そんな中で一人の少女が興味津々の顔をして芝居を見ていた。
年は4歳くらいだろう。
美術家にビデオを送らなければならないので、撮影も兼ねていたが、少女が登場人物の動きやセリフと共にカメラ前を動くので、わたしが写らないところに抱えて行って座らせると、少女は飽きることなく芝居を見続けていた。
「この子は凄いな、プロにしたいな」
と思った。そして、
「こんな小さな子が興味を持って見ているのだから、この芝居は成功する」
とも思った。
「難しいことをわかりやすく、かんたんなことを深く、深いことを面白く表現する」
というのがわたしの演出ポリシーだが、この芝居にはなにかしら少女にも興味を持てるものがあったのだろう。
思えばわたしは6歳の時、母親に連れられて、市川右太衛門の「赤穂浪士」を見た。映画館は超満員で、スチームと人いきれの中、突然母親がアイスクリームを差し出してくれたそのアイスクリームのおいしかったことや、観終った後、風呂に一緒につかりながら、母親が松の廊下の顛末を懇切丁寧に教えてくれたのを、60年経った今でも思い出す。
一心に芝居を見続ける少女を見ていると、60年前のわたしとオーバーラップしたので、
「アイスクリームでも買ってやろう」
と思ったが、少女がすでに何かを食べていたので、それは断念した。
恋のなれそめと同じように、偶然は時には必然になる時もあるので、近いうちに少女に再会するかもしれない。 |
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