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自然の現象にじぶんの境遇を重ねる平安の女 |
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京への道のりが非常に遠く険しい山道の様子を(中の君は)ご覧になると、
〈薄情なお方〉
とばかり思っていた宮が稀にしか通ってこられなかったのを、
〈無理もない〉
と少しは納得される。明るく輝きだした(二月)七日の月が美しく霞んでいるのをご覧になりながら、こんなに遠い道のりは、はじめてなので苦しく、物思いにふけって、
ながむれば 山より出でて 行(ゆ)く月も 世にすみわびて 山にこそ入れ
(ぼんやり空を見れば 山からのぼってゆく月も この世に住むのが辛くなって 再び山に入ってゆく)
〈(京へ行っても見捨てられて)境遇が変わり(また宇治へ戻ってくるかもしれない)、最後にはどうなるのだろう〉
と そればかりが心から離れず、行く末が不安なので、
〈(今の悩みに比べたら)今までの悩みなんてたいしたことではなかった〉
と昔のじぶんに戻りたい気がなさる。 |
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