季節の移り変わりと同じ速さで「源氏物語」は進行します。この世に生み出されたものが、春と夏を通過し、やがて生命の凋落を感じると、季節の秋みたいに衰弱し、そして冬のようにひとりでに死ぬ。この自然と同調した速度がこの「物語」の特徴です。