M.A.C Garden top 春 Spring 夏 Summer 秋 Autumn 外伝 Another story
名前
日蔭の蔓(ひかげのかずら)
別名
てんぐのたすき きつねのたすき うさぎのたすき やまうばのたすき
学名
Lycopodium clavatum
分類詳細
ヒカゲノカズラ科 蔓性シダ植物。
2m
皮膚のただれ
 古事記に、

 天宇受売命、手次に天の香山の天の日影を繋けて、天の真拆をかづらと為て、手草に天の香山の小竹の葉を結ひて、天の石屋の戸にうけ伏せて、蹈みとどろこし、神懸り為て、胸乳を掛き出だし、裳の緒をほとに忍し垂れき。爾くして、高天原動みて、八百万の神共に咲ひき。
(アメノウズメの命が天の香具山のシダ植物の日陰(ひかげの)蔓(かずら)を肩にかけ、つる草の真拆(まさきの)鬘(かずら)を髪に飾り、天の香具山の笹の葉を束ねて手に持って、天の岩屋戸の前に桶を伏せて、それに乗って踏み鳴らして踊っているうちに、だんだん興がのってきて神がかりの状態になり、上着がはだけて胸の乳房が露わになり、腰に巻いている衣の紐が陰部まで垂れた。それを見て八百万の神々は、高天原中に鳴り響くほどいっせいに笑った)

 とありヒカゲノカズラが登場する。
 新嘗祭の翌日の節会を豊明宴といい、舞姫による「五節の舞」がある。この日は、舞姫はもとより上達部、殿上人までヒカゲノカズラを挿頭して出席する。

 夏から秋にかけて長さ3センチほどの胞子嚢の穂を出すが、この胞子を石松子(せきしょうし)と呼び、薬用とする。
 過ぎ去った年月を数えて、ふと思い出したままの感慨を胸にしまっておけなくて便りをなさっただけなのに、五節の君が胸をときめかせるのもはかないことである。

かけていへば 今日のこととぞ 思ほゆる 日かげの霜の 袖にとけしも
(五節のことをおっしゃると かずらをかけて舞ったわたしがあなたに惹かれたのも 今日のことのように思われます)  

 五節の君からの返事は、趣向よく青摺りの紙(舞姫は青摺りの唐衣を着る)を選んであって、誰の筆跡かわからないように書いた墨の濃淡、それに平仮名に草仮名(草書体)を多く混ぜて書き散らしてあるのも、太宰の大弐の娘という身分のわりには趣があるとごらんになる。
[少女]
三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋
あしひきの 山下ひかげ かづらける 上にや更に 梅をしのはむ
(あしひきの 山のひかげのかずらを 髪に飾った その上さらに 梅をも愛でよう というのですか)
大伴家持(巻十九―四二七八)
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