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名前
楊貴妃(めだか、蓮(はす)
別名
蜂巣(はちす) 蓮華(れんげ)
学名
Nelumbo nucifera
分類詳細
スイレン科 多年草
7〜8月
50〜150cm
滋養 強壮 下痢(種子)
 ハスは、果実の入った花托(かたく)の姿が蜂の巣に似ていることから「蜂巣」と呼ばれ、それが訛って、「蓮(はす)」と言われるようになった。
 蓮は熱帯アジアを原産地とし、日本に渡来したのは二千年以上も前のことと推定されているが、それはハスの研究家である大賀一郎博士が昭和26年に千葉市内の検見川遺跡から発見されたハスの実を二粒まいたところ、そのうちのひと粒が発芽し開花したことで証明されている。
 ハスは、中国では「花の君子」と讃えられ、インドでは、「聖なる花」と呼ばれ、国花になっている。
 釈迦が晩年に書いた妙法蓮華経の蓮華(れんげ)とはハスの花のことであり、仏花を代表するハスは、源氏物語でも仏教との関連の上で取り上げられている。
 ハスは現在、根茎をレンコンとして食用にするためと、花を鑑賞するために各地で栽培されている。
 源氏の君が、
「あれをごらん。蓮はじぶん一人涼しそうにしてるね」  
 とおっしゃると、紫の上が起き上がって眺められるのもとても久しぶりなので、
「こんなによくなられた姿を見るのは夢のような気がする。あまりにもひどくて、わたしまでこれで終わりかと思った時もあったから」  
 と涙を浮かべておっしゃるので、紫の上も胸がいっぱいになられて、

消えとまる ほどやは経べき たまさかに 蓮(はちす)の露の かかるばかりを
(露が消えずに残っている間だけでも生きていられるのでしょうか 露のようなはかない命ですのに)  

 とおっしゃる。

契りおかむ この世ならでも 蓮葉に 玉ゐる露の 心へだつな
(約束しておきます この世だけでなく来世でも蓮の上にいつも一緒にいると あなたもいつまでもわたしを)                             
[若菜下]
三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋
み佩かしを 剣の池の 蓮葉に 溜まれる水の 行くへなみ  我がする時に 逢ふべしと 逢ひたる君を な寝ねそと  母聞こせども 我が心 清隅の池の 池の底 我は忘れじ  直に逢ふまでに
((み佩かしを) 剣の池の 蓮の葉に 溜まった水のように 成り行きも わから ないでいる時に 逢うのがいいと 神のお告げによって 逢ったあなたなのに 寝 てはいけないと お母さんは言われるが 我が心 清隅の池の 池の底のように  深くあなたを思って 忘れないでしょう 直接逢うまでは)
読人しらず(巻十三―三二八九)
ひさかたの 雨も降らぬか 蓮葉に 溜まれる水の 玉に似たる見む
(ひさかたの 雨でも降ってくれ 蓮の葉に溜まった水が 玉のようにきらめくのを 見たい)
 読人しらず(巻十六―三八三七)
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