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杉菜は地下茎を伸ばして繁茂する。杉菜の胞子体が土筆(つくし)である。土筆は、伸びきる前は先端まで「袴」に覆われていて、その形状が「筆」に似ていることから、「土筆」という字をあてられたようである。
このように土筆は和名で、漢名は筆頭菜である。
佐保姫の 筆かとぞ見る つくづくし 雪かきわくる 春の景色は
(佐保姫のための筆かと思った 残雪をかき分けるように頭を出した土筆を見たら[夫木抄・藤原為家]) |
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宇治山の阿闍梨から、
「年も改まりましたが、いかがお過ごしでしょうか。あなたの延命息災のご祈祷は怠りなく勤めております。今となりましては、あなたさまのことが気がかりで、ご無事をお祈りしております」
などと手紙に書いて、蕨や土筆を風情ある籠に入れて、
「これは寺の童子たちが仏にお供えした初物です」
と献上した。筆跡はひどい悪筆で、歌は、わざとらしく一字一字離して書いてある。
「君にとて あまたの春を つみしかば 常を忘れぬ 初蕨なり
(父宮のために毎年春には摘んでさし上げたので 今年も忘れずお届けする初蕨です)
中の君の前で詠んであげてください」
とある。 |
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[早蕨] |
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三澤憲治訳『真訳 源氏物語』から抜粋 |
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